Moment Novels-Day2-


どうやったって私たちを引き離せない。私が彼ら以上に愛する人がいてもその人は私たちを引き離すことができない。なぜなら私たちは同じ年に同じような時間帯に生まれたんだから。

星が言ってる、生まれた時を選ばせてやったんだって。

勢いのある星が生まれることを勧めた。

「お嬢様方、このお時間がちょうどいいのではないでしょうか?」

私は尻込みして彼らよりも8ヶ月も遅れて生まれた。予定では彼らと同じ日に生まれるはずだったのに私が尻込みしたのだ。

地球で生活をしてからも彼らのほうが肝が据わっている。勢いもあるし行動力もある。

私は降誕してもあいかわらず尻込みしている。

彼らの後ろを歩いている。いつも8歩後ろを、いつも8か月後を、そして8年遅れて私は私に生まれることを許可した。

星々は呆れながらも私を見守る、彼らに言いながら、

「あのお嬢さんはちょっと歩みが遅くて慎重なだけなんです。お坊ちゃん方、どうかご心配なさいませんように。そして、あまりにもノロノロと歩いていたら無理矢理にでも引っ張って歩みを共にしてくださいまし」。

ノロノロと靴を履いている。靴紐をしめないと転んでしまうからと、入念に何度も何度も結び直している。

何時間も何日も何週間も何年も。

彼らは急かさない代わりに急かしたい気持ちを抑えている。私は読み取って「ごめんね」「ちょっと待って」を繰り返す。


後ろから抱き上げられて、世の中に放り込まれた。

何度も怒った。何度も馬鹿にするなと牙を向いた。


彼らは私のいないところで私を思ってくすくすと笑う。

「だって遅せぇんだもん」。


男の子は乱暴だ、男の子は考えなしだ、男の子はろくなことをしない。だから私は男の子が好きだ。

私はあまりにも慎重に丁寧にまともなことばかりを選びすぎるから。


出会えたことは運命?いいえ、私たちはもともと出会う必要もないよう同じ日に生まれるはずだったから。運命を書き換えたのは私なの。だから宿命となった。運命よりも腐っても切り離せない鋼の絆を形成してしまったのは私が意気地なしで生まれるタイミングをひとり渋ったから。


ごめんね、双子の兄弟たち。


※スマホの壁紙に使えます。


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