SA/St(鳳凰、グリフィン、Dream Demon)-5/13-

彼女の元旦那はさ、俺のファンだったんだって。そのことはよかったと思う。利用価値があるなって思ったよ。

俺は彼女の元旦那が大嫌い。だって彼女とセックスしたんだぜ?そんな怒りを仕事にぶつけていたら、いい作品が描けた。それが癖になったんだ。

彼女はひとりで立ちたがる。ひとりがいいって言う。それが俺と似ていてすごく好きになった。

元旦那は相変わらず何も知らずに俺たちの仕事をベタ褒めしている。

天才だ、とか、すごい才能だ、とか。実際に俺を目の前にして目を輝かせていたこともいい思い出だよ。

お前が彼女の才能を否定して笑ったこと俺は忘れないよ?俺は彼女の才能を誰よりも早く見抜いていた。お前が憧れたこの俺がね。


俺たちはひとりで立つことを好む。だから共に立てる。

不確かな綱渡りを繰り返していると、この世界がとても明るく見えてくる。眼前に夜明けが、東雲の紫とピンクがメルヘンチックに演出してくれる。

この世界に終末が来るって?バカな奴らだな。俺たちが狂ったカオスの中に秩序を作る力もない退廃的な空虚感がかっこいいなんて時代遅れも甚だしいね。

「開拓できない退廃的な弱さが何よりも嫌い。だって負け戦にならないよう保険かけてるだけじゃない」

そうバカにしている彼女の姿もまた色っぽいんだ。

抱いたかって?

ああ、もちろん。ちょうど昨日ね。

白い肌、赤い唇、火照るすべてが俺の理想だった。やりやすかったよ、相性抜群だね。

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