STARLIGHT MAP=WED=

【招詞:独占欲】


独占欲は俺の表情を自由自在に動かし始めた。

人前で笑顔を絶やしたことのないこの俺が、優秀極まりないお手本のような俺が、不本意にもしょげた顔をしてしまっている。

椿は笑っている。

「ねえ、笑って?あなたが笑っていないと私悲しいのよ」

誰にでも言っていることはわかっているのに。俺はたまらず外に出て看板を蹴り倒してしまった。大きな叫び声を上げて、近隣住民が皆窓を開けた。

もう数年前になる、夏の夜の夢だったのかもしれない。


小さなニンフの魂が素質としてある。そんなことは噂として聞いていたが、魂は育つ前の赤子よりも始末が悪かった。

俺が誰だかわかってるのかよ!と幾度も宣戦布告を試みたものの、椿は華麗にスルーする。

「私興味ないの」と次の瞬間に言われそうで、俺は恐れて彼女に体当たりできなかった。


百戦錬磨の彼女は恋愛には興味がないらしい。動きが鈍るからとセックスに興じることもないし、誰かと連れ立って歩くことを煩わしいとさえ言う。

何者なのかは聞いていたものの、、


俺が変わった。間違いなく。度胸がついて肝が据わって、一心不乱に戦う世界に身を置くようになった。

年齢にして37。そろそろ年貢の納め時だというのに、あれは相変わらず平気な顔でふらふらしている。

よくわからない大義名分のためだとかなんとかで。

俺が受け取るべき取り分はすでに超過しているというのに。。。

答えを待っているよ、椿。


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